前歯が抜けると外見や機能に支障をきたし、不便に感じることが多いでしょう。
ここでは、失った部分にインプラントを行い歯を入れる手順について説明します。
インプラントは手術後3~6か月で骨と癒着します。上顎の骨は柔らかいため、癒着までの期間が長くなる傾向にあります。
癒着したインプラントには、歯の土台となるアバットメント(アバット)を接続し、規定のトルクでしっかりと結合させます。上顎の前歯では、角度付きのアバットを使用することが多いです。ストレートのアバットを使用すると出っ歯になり、見た目が良くないためです。
以前は、型取りをして石膏模型を技工所に送り、歯の技工をして製品を送り返してもらう方法でした(1~2週間かかります)。
私の診療所では、先端技術であるセレックコンピューターシステムを用いて技工処理の効率化を図っています。
このコンピューターシステムでは、従来の型取りをせずに光の反射を利用してコンピューター上で立体構造を作成し、ロボットがセラミックの歯を削り出します。そして、ファーネスで1000℃~1600℃の温度で焼き上げ、その日に歯を完成させます。これにより、来院当日に治療が終了します。
突然歯が1本無くなっても、その日に新しい歯を作成し、治療を完了させることが可能です。
インプラントに歯を作成する手順は以下の通りです。
- インプラント手術:まず、歯茎を切開し、人工歯根となるインプラントを顎骨に埋め込みます。この手術は一般的に局部麻酔で行われ、その後、インプラントと骨が結合するまで待ちます。この過程はインプラントオッセオインテグレーションと呼ばれ、通常3ヶ月から半年程度かかります。
- アバットメントの取り付け:インプラントが骨に結合した後、再び歯茎を切開し、人工歯根の上部にアバットメントと呼ばれる小さな部品を取り付けます。アバットメントはインプラントの形状に合わせて作られ、人工歯の土台となります。
- 人工歯の作成:口内の印象を取り、技術者がその情報を基に最適な人工歯を作成します。人工歯は口の形状や色合いに合わせて作られます(私の診療所ではスキャナーでデータを読み込み、ロボットが歯を作成します)。
- 人工歯の取り付け:最後に、歯科医師が人工歯をアバットメントに取り付けます。人工歯は周囲の歯と同じ高さや形状に仕上げられ、自然に感じられるようにします。
これらの手順を経て、インプラントに人工歯を作成します。ただし、手術や人工歯の作成には、個人の状況や歯科医師の技術などによって異なる場合があるため、注意が必要です。インプラントの手術や人工歯の作成には、自費費用がかかることも覚えておく必要があります。